三線屋に問われる資質

ASOVIVA

2008年08月04日 07:38

この時期はブログ更新も仕事が始まる前の早朝か仕事が終わった後の真夜中になってしまう事が度々

本当は季節を問わずニーズがある楽器としてもっと普及したいんですが、やはりまだ三線=沖縄=夏ってカテゴリーの枠の中の位置づけなのでしょうね。

まぁその辺は今後も
「楽器としてこの簡単な弦楽器を多くの人に楽しんでもらいたい」
と確固たるコンセプトを持って推進していきますよ

しかし上記のコンセプトを持っていても、三線屋に必要なあらゆる側面において技量・知識の充実なくしては、コンセプトの実現はないと思う。

「それは何か?」と問われれば、下記の通り。




構造の知識・技術

使用する材質の特性や、皮張りの強さによる音の変化などはやはり多くの三線を弾いて感覚的にも、知識的にも身につける必要がある。
そして職人=三線屋の主の場合はこの知識を反映できるだけの技量がないと意味がない。棹の削り・皮張り・部当て、どの工程もサウンドを左右する為、全ての工程を熟練した技術でこなせるだけの経験が必要。

演奏の知識・技術
趣味で楽しむ分には別に「好きな曲をやりたいように演ればいい」に決まってますが、
三線屋となれば、お客さんによって使用するジャンルは多岐に亘ります。だから民謡も古典もポップスもある程度自分で弾けないと的確な三線選びのアドバイスは出来ないし、もちろん演奏のアドバイスも出来ません。
三線屋なのに安里屋ユンタとか安波節しか弾けないのは僕個人的に言わせればOUTです。
もっと言えば三線に対する情熱や愛情が足りなさすぎます。

歴史の知識
楽器にそれぞれ生い立ちから今に至るまで長い歴史があり、この歴史や昔の形状を知る事は、現在ある形を更に改良するのに役立ちます。三線も600年程の歴史があるので過去に自分が考えている事を試みた人がいないか?とかずっと変わらない部分はどの場所か?など考察の良材となる事が多いのです。
自分だけで探求するのは2度手間になる事が多く時間の無駄が多い事を歴史が教えてくれます。

視野の広さ・コンセプトの合理性
上記は三線に関する知識や技術で、それを多くの人に伝えたい場合は、やはり他のジャンル、異業種の合理的で良い部分を取り入れたり、使えるツールはどんどん活用する事によって良いコンセプトや独創性が生まれてきます。
僕が思う良いコンセプトは「合理的且つ画期的」、逆を言えば便利なものでも他にあれば意味が無いし、他にないものでも必要のないものを新しく作る意味はない。
コンセプトは両方を兼ね揃える必要があり、その為には必ずこの視野の広さや柔軟な考えが必要だと思います。


そしてこれらはシビアに言えば掛け算だと思う。
どれか一つでも0なら他のどれかが10でも0になってしまう可能性が高い。
だから0なら1にする努力はすべき。その上で長所を10や20に伸ばせばなんの問題もないですからね
いろんな人やお店を見てきてつくづく思いますね、物事の形成は掛け算なんだと。。




僕一人ではまだ未熟な構造の知識・技術面は30年その道をひた走ってきた職人と力を合わせて、更に資質を高めて参りたいと思います。



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